a)平安末期以降に実在した---名字が今のような形になったのは、ほぼ平安末期と考えていいと思います。従って、それ以降に実在したものだけを対象としています。それ以前も対象とすると、「県犬養橘」(あがたいぬかいのたちばな)とか、今の感覚では名字といいがたいものも含まれてしまいます。 b)本名に限る---江戸時代以前は自由に姓名を変えることができましたから、本名かどうか、という判断は難しいことがあります。それでも、戯作者・鹿都部真顔の「鹿都部」のように明らかに本名でない場合は対象としません。明治以降は戸籍制度があって、本名とそれ以外は厳然と区別できます。従って、本名以外は対象としていません。従って、筆名・芸名・力士のシコ名などは名字とは考えていません。 c)新旧字体は同じとする---現在、漢字には新字体と旧字体があります。これらを厳密に区別する方と、区別しない方があります。「滝沢でも瀧澤でもいい」という方もいれば、「自分は瀧澤であって、滝沢ではない」と断言する方もいます。新旧字体の差は、その名字の発祥などには関係ないため、私は新旧字体は同じとみなしています。 d)読みは原則として区別---同じ表記の漢字でも読み方が違えば別の名字としています。ただし、清濁の差や、音便の差は、やはり名字の発祥などには関係ないため、同じと考えています。 つまり、「河野(こうの)」と「河野(かわの)」は別の名字ですが、「山崎(やまさき)」と「山崎(やまざき)」や、「佐々(ささ)」と「佐々(さっさ)」は同じ名字ということになります。 |