新湊の名字


富山県射水市の新湊地区は、珍しい名字が多い町として知られています。
平成の大合併で現在は射水市となっていますが、それ以前は新湊市という単独の市で、富山県西部の庄川の河口にある人口4万人弱の小さな市でした。
江戸時代は放生津という加賀藩領の港町で、寛永年間以降に開拓によって発展した町ですが、なぜかこの町には変わった名字がたくさんあります。
港町らしく漁業に関係のある名字が多いのですが、ここにはずばり「魚」という名字があります。「鯉淵」「鮎貝」など魚のつく名字はいくつかありますが、「魚」は他では見られません。また「釣」という名字は非常に多く、市内に100軒以上もあります。他には「海老」「網」「魚倉」「波」「灘」などもあります。
次に食べ物の名字。なんといっても珍しいのが「米(こめ)」です。「よね」と読む名字は各地にありますが、「こめ」はかなり珍しいです。他には「酢」「飴」「菓子」「糀」などもあります。
新湊の名字の特徴は、物の名前をそのまま名字にしているものが多いことです。「桶」「車」「水門」「風呂」「綿」「石灰」「鼎」「瓦」「壁」「地蔵」「籠」「飾」など、生活に密着した器物が名字となっています。東北に多い「金」もここでは「かね」と読みます。
地形由来の名字も、ここでは「山」「松」「横丁」「四間丁」など、そののずばりとなります。また「牛」「鹿」「鵜」などの動物の名前、「菊」「草」などの植物の名前もあります。ただし、「菊」さんの由来は植物のキクではなく、もともとは「酒を利(き)く」(利き酒のこと)だったそうです。
その他にも、「音頭」「大工」「旅」「蒸」「折」「紺」などが見られます。
これらの名字の多くは新湊独自のもので、隣の高岡市や、新湊地区以外の射水市ではあまり見られません。江戸時代に「~屋」と名乗っていた商家が、明治になって戸籍に登録する際に、「屋」をはずしてそのまま名字としたことが理由の一つと言われています。