世界的にみてもたいへん種類の多い日本人の名字ですが、いったい全部でいくつあるんでしょうか。韓国では国が調査を行っており、名字の数はきちんと把握されています。しかし、日本ではそういった調査は行われておらず、いろいろな推計値が出されています。 では推計でいくつぐらいか、というと、なんと十万という説から、30万近いというものまであり、まちまちなのです。いくらなんでも、これだけ違うと誤差の範囲内、といはいえません。 しかも、数の多い方がよく調査が行き届いて正しい、というわけではないのです。いったいどちらが正しいのでしょうか。 |
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結論からいえば、どちらが正しい、ともいえません。なぜかというと、名字の数え方で書いたように、それぞれ数え方が違うからです。 たとえば、滝沢さんの場合、新旧字体によって、「滝沢」「滝澤」「瀧沢」「瀧澤」と4種類あります。読み方も「たきざわ」と「たきさわ」がありますから、全部違うとして数えれば2×2×2=8で8個ですし、同じとすれば1個となります。漢字によっては多くの異体字を持つものもありますから、ある人が1つと数える名字を、別の人は20個以上にカウントしたりします。こうして総数が大きく違ってくるのです。 もう一つの理由が、幽霊名字です。詳しくは幽霊名字の項目をみてほしいのですが、たくさんの名字を収録している事典には、本当は実在しない名字も含まれていることが多いのです。こうした実在しない名字までカウントすると、際限なく増えてしまいます。名字の収録数が多い事典には、たくさんの幽霊名字が収録されているのです。 なお、私は日本人の名字の総数は、十数万と考えています。 |